facebookの「パリ市民の安全と平和を願うプロフィール写真設定」は怖い。
パリでテロがありました。犯行はIS(イスラム国)とも言われていますが、とにかく痛ましい事件だし、劇場などでの無差別殺人は憎むべきもの以外なにものでもない、というのは確か。
それに応じてfacebookが自分自身の写真にフランス国旗をオーバーレイできる機能を提供してますが、これは・・・怖い。
こういうやつですね。
簡単に意思表明するもんじゃない
この手のやつは日本で言うと東日本大震災の時に「Pray for Japan」という形で一般的になりました。facebookのアイコンを自動で「Pray for Japan」のアイコン付きに変えてくれるサイトとかもありました。
PicBadges | Community Page Pray For Japan
まぁfacebook認証使ったりしてるんで、実は個人情報取られてただけ、という可能性も否定できないですが・・・まぁそれはそれとして。今回怖がってる話じゃない。
他にも同性婚合法化でレインボーになったりとか、その手の話は色々ありますが、これはすべてユーザーが「自分の賛同の意を表明する」「なんかそういうの乗っとくとカッコよくね?オレ」みたいな感じで自分で変えてたので個人の勝手。
今回怖いな、と思ったのは、「パリ市民の安全と平和を願うプロフィール写真を設定しよう」というリードのもと、facebookの機能としてアイコンをトリコロールに変える機能が提供されていること。(もしかしたら前からかも知れませんが、今回はじめて見た)
意思表明するのは勝手です。けど自分でわざわざ手間かけてアイコン加工してやるのと、facebookから提示された、それもテロ被害にあった側だけのアイコン加工が自動で出来る、ってのはかなーり危なっかしいと思います。
説明書きは「パリ市民の安全と平和」ですが、今回こういう話もあります。
「敬愛するパリよ、貴女が目にした犯罪を悲しく思います。でもこのようなことは、私たちのアラブ諸国では毎日起こっていることなのです。全世界が貴女の味方になってくれるのを、ただ羨ましく思います。」 シリア出身UAE在住の女性アナウンサー https://t.co/GBOS1fNHWM
— Saeed Sato (@SaeedSato) November 14, 2015
アラブ諸国では毎日起こってることらしいのに、ヨーロッパの先進国のフランスの首都パリでテロがあった、ということで日本や米国で衝撃が走った、ということは理解には難くない。けどここで述べられている「毎日起こっている」ことは、多分だけどどっちが悪いとか多分なくて、宗教やら利権やらイデオロギーやらなんやらでぶつかってる人たちのとばっちりを受けた犠牲者の話だと思います。
それを「パリ」だけでトリコロールアイコンにワンクリックで変えられる、というのはちょっと怖い。さっき話した「これってかっこ良くね?」の人たちが手軽にできるから、という理由でやっちゃうだけでfacebookは一面トリコロールアイコンだらけになる可能性がある、ってことです。
それを見たIS支持の人たちの反応は難くないし、その事自体がさらに事をややこしくする可能性もあって、そのきっかけはfacebookの「ワンクリックで出来ますよ」機能のせいだったとしたら、やっぱり危ないなぁ、と。そもそも思想なんて簡単に意思表明するもんじゃない。そんなカジュアルなもんじゃない。
また、これがもっと違う事象に適用されていくとほんと危なっかしい。
ミャンマーで野党が大勝したけどリーダーのアウン・サン・スー・チーが憲法で大統領になれない(すごい憲法だ)そうで、大統領をコントロールする、って宣言してるらしいけど、これに賛同するアイコンとかつけちゃうと、その人は暗に憲法軽視してるって表明でもあって、その人が「安倍内閣は憲法違反!」とか言っちゃっても説得力ないわけで。
またなんかの折でfacebookが米国政治で共和党・民主党どっちかの肩を持ってアイコンキャンペーンとかしたらもうそれってよくわからないわけですよ。そのアイコンに変えた人の数を「民意だ!」とか言い出したらそれは世論操作でしかない。
アイコンを変えるのは好きにしてください。そこに口出すつもりは毛頭ないです。まぁ軽々しくやるのは後々自分で自己矛盾に陥らないようにするのは大変ですよ、というくらいで。
それよりもこういう機能が簡単にfacebookの裁量で設定される事の方が怖いなぁ、という話。